毒吐き幼なじみはときどき甘い。
私のTシャツから手を離した昴くんは
少しだけ、腕を伸ばして。
「手…繋いで?」
「……は!?」
「俺の手、握っててよ…」
……どうしたんだろう。
今日の昴くんは、別人みたい。
部屋は昔と全然違うのに
目の前にいる昴くんは…昔みたいにかわいい。
「……昴くん、
こういうのは好きな子だけにやるんだよ?」
「……わかってる。
だから、練習…」
ちっとも手を重ねない私に痺れを切らして、
昴くんは強引に私の手を握った。
「……いいって言ってない」
「千花の手…冷たくてきもちいい…」
“千花”って…
いつも“おまえ”とかなのに。
一昨日もだったけど、急に名前を呼ばれるのはドキッとするからやめてほしい。