毒吐き幼なじみはときどき甘い。



「俺の友達の悪口言うな」とか、言ってやろうかな。



我ながらクサすぎるセリフだと思ったけど、



俺が出て行く前に、「あの」って力強い声が聞こえた。




「……え、なに?」



「さっき、私の友達の悪口、言ってませんでした?」




この声…間違いない。



千花だ。



アイツ…めんどくさそうなのに首突っ込むなよ。




「友達?
……あ、さっきの音痴イケメンと同じ制服…。
あのイケメンと友達なんだ?」



「そうですけど」



「イケメンなのに音痴とか可哀想だね、あなたの友達」



「可哀想?どうして?
完璧じゃないから、人間らしくていいんじゃないですか」




お世辞を言ってるとは思えない、真っ直ぐで力強い声。



そんな真っ直ぐな言葉をぶつけられるほど、



千花は、天のこと……。




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