毒吐き幼なじみはときどき甘い。
みんなには聞こえないくらいの小さな声で、「失礼しまーす…」と言ってから雪森くんの隣に座った。
さっきまで雪森くんの隣でベタベタくっついてた女の子2人も、雪森くんの歌の後にはまったくその気を見せず、
私が雪森くんの隣に座ったのを見ても、何も言ってこなかった。
「…いいの?
ここ、昴くんの席」
「勝手に移動するだろうから、大丈夫」
さりげなく昴くんの飲み物を遠ざける雪森くん。
昴くんが戻ってきたら、また不機嫌になってしまいそうだ…。
なんでか知らないけど、昴くんはやたらと私が雪森くんに近づくのを嫌がる。
雪森くんがゆきくんだとわかる前から、「話すな」って言ってきてたし…
もしかして昴くんは、雪森くんを独占したいのかな?
だから私が雪森くんと話すのが気に入らない?
友達って、そう思うのが普通なのか?
私は友達に対してそんな風に思ったこと、なかったけどな…。