毒吐き幼なじみはときどき甘い。



みんなには聞こえないくらいの小さな声で、「失礼しまーす…」と言ってから雪森くんの隣に座った。



さっきまで雪森くんの隣でベタベタくっついてた女の子2人も、雪森くんの歌の後にはまったくその気を見せず、



私が雪森くんの隣に座ったのを見ても、何も言ってこなかった。




「…いいの?
ここ、昴くんの席」



「勝手に移動するだろうから、大丈夫」




さりげなく昴くんの飲み物を遠ざける雪森くん。


昴くんが戻ってきたら、また不機嫌になってしまいそうだ…。




なんでか知らないけど、昴くんはやたらと私が雪森くんに近づくのを嫌がる。



雪森くんがゆきくんだとわかる前から、「話すな」って言ってきてたし…



もしかして昴くんは、雪森くんを独占したいのかな?


だから私が雪森くんと話すのが気に入らない?



友達って、そう思うのが普通なのか?



私は友達に対してそんな風に思ったこと、なかったけどな…。




< 135 / 293 >

この作品をシェア

pagetop