毒吐き幼なじみはときどき甘い。
行き場をなくしたタオルをカバンにしまおうとしたら、
その手をパッと掴まれた。
「……や、」
「…え?」
「……やっぱ借りようかな」
昴くんの指が、するすると私の手首を撫でる。
昴くんに触れられたら、
昨日抱きしめられたことを思い出してしまって…。
「……いや、
自分の持ってるなら自分の使ってよ」
バッと昴くんの手を振り解こうと、自分の手を引っ込めた。
「……カワイクネェ」
「………」
抱きしめられて気まずく思ってるの、私だけ?
私は、昴くんが連絡先を聞いた女の子みたいにかわいくないし、
捻くれてるし…。
断るの可哀想だから使ってやる、みたいな言い方されたら、こっちだって素直に貸したくない。
そういうところが、かわいくないんだろうけど。