毒吐き幼なじみはときどき甘い。



行き場をなくしたタオルをカバンにしまおうとしたら、


その手をパッと掴まれた。




「……や、」



「…え?」



「……やっぱ借りようかな」




昴くんの指が、するすると私の手首を撫でる。



昴くんに触れられたら、


昨日抱きしめられたことを思い出してしまって…。




「……いや、
自分の持ってるなら自分の使ってよ」




バッと昴くんの手を振り解こうと、自分の手を引っ込めた。




「……カワイクネェ」



「………」




抱きしめられて気まずく思ってるの、私だけ?



私は、昴くんが連絡先を聞いた女の子みたいにかわいくないし、


捻くれてるし…。



断るの可哀想だから使ってやる、みたいな言い方されたら、こっちだって素直に貸したくない。



そういうところが、かわいくないんだろうけど。




< 151 / 293 >

この作品をシェア

pagetop