毒吐き幼なじみはときどき甘い。
雪森くんが言うまで、鼻血で汚されるなんて思ってなかったよ。
……私はただ普通に、昴くんが一回いらないって言うから、拗ねただけだし。
「千花ちゃん」
「え…」
前を歩いていたはずの雪森くんが、いつの間にか隣にいて、
びっくりして、思わずのけぞってしまった。
「そんなビックリされると、傷つくんすけど」
「あ、ご、ごめん…!
急だったから…!
決して嫌というわけでは…!!」
昨日、突然昴くんに抱きしめられたこともあって
いきなり近くに来られると、ちょっと構えてしまうというか…。
雪森くんが悪いわけじゃない。
「カバンに、でろでろくん付けてくれてる」
隣から嬉しそうな雪森くんの声がした後、
雪森くんもカバンをこっちに向けてきた。
「俺も付けたよ。
お揃い」