毒吐き幼なじみはときどき甘い。
「私はいいよ、昴くんを優先して?」
「俺が千花ちゃんと一緒がいいんだけど」
「でも……」
そんな話をしている間に、
昴くんと金髪男が教室に入ってくるのが見えた。
「…あ、ほら、
昴くんたち来たから」
あっち行きなよ、って意味を込めて、雪森くんの背中を押した。
「え、ちょ、千花ちゃん」
雪森くんの困ったような声が聞こえた後。
「天」
聞き慣れた声が雪森くんの名前を呼んで、ドクン、と心臓が跳ねた。
……いやいや、なんで。
呼ばれたのは、私じゃないのに。
なんで
嫌いなはずなのに、昴くんの声にドキドキするんだろう。