毒吐き幼なじみはときどき甘い。
泣き虫で頼りなかった昴くんが…そんなことできるようになったんだ。
……私相手に、そんなことしてくれるんだ。
重い体を動かして、昴くんの首に腕をまわして体重を預けた。
「……昴くんじゃ、私を運べないでしょ」
「なめんなバカ」
……またバカって言った。
昴くんの心配して言ってあげたのに。
昴くんは私の膝の裏に手をまわすと、
「よっ」と声を出して、軽々と立ち上がった。
「わー…軽々持ち上げられちゃった…
昴くんのくせに…」
「一言多いんだよアホ」
バカの後は、アホですか…。
「眠いなら寝れば」
「あはは……寝たらどっかに捨てられたりして…」
「そんな鬼じゃねぇよ。
どんだけひねくれてんだよおまえは」
昴くんの背中に揺られながら悪態をついたら、はぁ…とため息をつかれた。