毒吐き幼なじみはときどき甘い。




気付くと玄関まで来ていて、


私のカバンを持った雪森くんが、私の靴も持って待っていた。




「靴、履き替えさせるよ」



「悪いな」




雪森くんが私の上履きを脱がせて、ローファーを履かせてくれた。



何から何までやってもらって申し訳ない。




「ごめんね…ゆきくん」



「……ううん、俺が悪い。ごめん。
…スマホ持ってないフリまでして、2人きりでいようとして」




フリ…?




「残念だったな、せっかくのチャンスが潰れちまって」



「昴…お前ほんと性格悪いな」




嬉しそうに笑ってる昴くんと、チッと舌打ちをする雪森くん。朝とは全く逆だ。



でも昴くんの性格が悪いのはその通りだと思う。





「じゃあ俺はコイツ送るから」




雪森くんからカバンを受け取った昴くんが、スタスタと歩き出す。



通り過ぎる時に雪森くんが手を振って「ばいばい」って言うから



私も小さく手を振り返した。




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