この夜、返品可能です。





宵くんがここにいる理由は、もしかしたらわたしが都合よく予想しているものとは違うかもしれない。


別にわたしに早く会いたくてサプライズで駅に迎えに来てくれた訳じゃなくて、自分の買い物ついでに寄ってくれただけかもしれない。

いや、そもそも本当に偶然わたしを見かけただけかもしれない。




宵くんに聞いてみないことには分からないけれど、とりあえず一刻も早くその温もりに抱きつきたかった。

宵くんただいま今日も大好き!って、言いたかった。



けれど、それが出来なかったのは。





「仁乃、今日は俺に早く会いたいから走って帰ってくるって言ってなかった?」

「言ってた……」

「じゃあ今の誰、あいつは何、仁乃はなんでそんなにタラタラ歩いてんの?」

「えっと、宵くん、」

「仁乃は俺が好きなんだろ。なぁ、違う?」





宵くんがすっごく不機嫌で、ちょっと怖かったから。




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