この夜、返品可能です。
「お前は俺のことが好きなの?」
こくり、小さく頷く。
好きだよ、宵くんのことが大好きだよ。
だから、女の子として見て貰いたいんだよ。
他の子にあってわたしにないものがあるなら教えてよ。
「じゃあ、好きなのに「せふれ」になりてーの?」
頷こうとして、やめた。
「せふれ」に憧れていた。わたしは宵くんの手のひらの温度しか知らない。
「ばぁか」って言って優しく撫でてくれるその手しか、わたしは教えて貰っていないから。
宵くんの身体に当たり前に触れられる「せふれ」の女の子たちが羨ましかった。
宵くんは彼女を作らないから、宵くんに触れるには「せふれ」になるしかないと思った。
だけどでも、でもね、宵くん。
出来ることなら「せふれ」じゃなくて「かのじょ」になりたいって、本当はずっと思ってる。
そう言ったら、宵くんはどんな顔をする?