この夜、返品可能です。





「なぁ、仁乃。どうなの」

「……宵くんは意地悪だ」

「…はぁ?」



意地悪だよ。わたしが宵くんのこと好きだって思ってる気持ちを弄ぼうとしてるんだ。



ずるいよ。自分は沢山「せふれ」居るくせに。

星の数にさえわたしは入れて貰えないの、つらいし悲しいんだよ




「い、1時間50円でもいいよ」

「半額になっただけじゃねーか」

「らっ、ラブホ代に比べたら安いんじゃないですか!?知りませんけど!特売じゃん!セールじゃんっ」

「あのなぁ……」




一回だけでいいのに。

そうしたら、わたしはもう少し自分に自信が持てるかもしれない。頑張り方が分かるかもしれない。




宵くんがもし、今夜わたしを女としてみてくれるなら。もし、一日だけ「せふれ」にしてくれるなら。






「な、無かったことにしてくれてもいいから!」




全部済ませてやっぱりダメだった時は、わたしの気持ちごと返してくれていいから、さ。



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