この夜、返品可能です。
「仁乃、」
「んん……」
「……ムカつくわ」
ムカつくわ、ほんと。
仁乃の寝顔が可愛いから、仁乃の寝言が聴きたいから、いつも仁乃が寝たあとも少しだけ起きてるなんて、俺も大概アホじゃねーの。
すやすやと眠る彼女の頬にキスを落とし、仁乃の小さな身体を包み込むようにして目を閉じる。
仁乃の匂いが近い。赤ちゃんを抱いてるみたいな可愛さと安心感に包まれる。
ようやく眠くなってきたかもしれない。
明日もどうせ全力で俺を好きだと伝えてくる仁乃の奇行に付き合わされるんだ。
バカだしアホだけど、仁乃に好かれるのは心地よい。顔を赤くして怒るのも、俺に触ってもらおうと頑張るところも嫌いじゃない。
ヒンニュウだけど、普通に、興奮もする。
仁乃だけなんだよな、こんな風に思い出して心臓がギュッてなるのはさ。
可愛いんだよ、俺の彼女は。ムカつくけど、俺も相当仁乃のことが好きみたいだ。
(やべー……なんかムラムラしてきた)
俺が眠りにつけたのは、それから更に30分後の話。