この夜、返品可能です。
返事をする暇はなかった。
首筋にちゅうっとキスを落とされる。初めての感覚に、びくりと身体が震えた。
なんだ、なんだなんだ?
宵くん、何をしていらっしゃる?
「っ、よ、よい、くん」
「なに」
「ぬおぉ、そこは首というもの、でっ」
「知ってるけど」
ちゅ、ちゅ……と何度もキスを繰り返す宵くん。
首にキスされてるだけなのに、だんだん変な気持ちになってきてしまうのはどうしてだろう。時折宵くんの髪が当たってそれもまたくすぐったいのだ。
手首を掴んでいたはずの宵くんの手は、知らないうちにわたしの手に重なっていた。
優しく絡み取られた手。指先を確かめるように触られて、胸がぎゅうっとなる。