この夜、返品可能です。






「えっ、宵くん、」

「いつまで喋ってんの?」



近い、ご尊顔が近い。
眉を寄せて不機嫌そうにしている。

電話の向こうから《仁乃ちゃん?もしもーし》というハルカさんの声が聞こえる。




「もーいんじゃないの」

「そうわたしもそう思うんだけどハルカさんが一生話しかけてくるから切り時が見つからず」

「ハルカはいつもそうじゃん」

「いやそれは知らないけど……」



今日の宵くんは酔っているせいか、多分あんまり頭が働いていないんだと思う。


いつもハルカさんがこうとか知らない。ハジメマシテだし。無理やり代わったし。




《あれ?もしかして宵に捕まったかな?》



ギクリ。小さな声で話していたつもりだったけれど、ハルカさんに聞こえてしまっていたのだろうか。


顔が見えていたら絶対ニヤニヤしていると思う。

ハルカさんの顔は見た事ないけれど何故か想像できた。



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