この夜、返品可能です。
……ハ?何この男、ナチュラルに胸揉んできたんですけど。
ハ?しかもしっかり悪口までセットで言われたんですけど。
…………ハ?
「感じてねーの。つまんな」
「感じるとか感じないとかじゃなくないこの状況 えっなになになに怖い怖いなんで急に揉んできてるの?は?」
「今日もよく喋んねおまえ」
「さっきまで『仁乃ちゃんだいしゅき♡』とか言ってたのはそっちですけど」
「言ってねえわ、盛んな」
パッと胸から手を離した宵くんに 鼻で笑われる。解せぬ。何故わたしが笑われてるんだ。
酔いが完全に冷めたのか知らないけど、わたしはさっきまでの宵くんを死んでも忘れない。
ホント、録音しておけばよかった。そしたら毎日「ちゅーしよ」の声を目覚まし代わりにしたのに。
くそう、わたしとしたことが。
「あー、頭痛え。絶対明日に響く」
「ざまあみろばーかばーかぽんこつやーい」
「仁乃、なんか言った?」
「イエ何も」