この夜、返品可能です。




名前を呼ばれた。


有川って言われたかな。たしかにわたしの苗字だけど、友達の中にこんな声の人いたかなー…なんて思いながら振り返る。


するとそこには同じクラスの三谷みたにくんがいて、「やっほー」と軽い口調で手をヒラヒラさせていた。


「三谷、どうしたの?」



そう聞いたのはわたしではなくカナちゃんだった。そう言えばカナちゃんは三谷くんと委員会が同じだったっけ。


「や、有川のこと待ってたんだよね」

「何故?」

「何故って、えー、察してよ」


察するも何も、わたし三谷くんとはクラスで最低限の会話をする程度だから本当に検討もつかない。

首を傾げると、「鈍感なの?」と笑われた。
鈍感…のつもりは無かったんだけど。


< 92 / 181 >

この作品をシェア

pagetop