この夜、返品可能です。
「あー…、私先に帰ろうか?」
何かを察したカナちゃんが言う。
三谷くんは「助かる助かるー」と言っていたけれど、何一つ状況が分かっていないわたしからしたら カナちゃん帰らないでくれ?の気持ちが強かった。
「ごめん仁乃、私帰るわ」
「ええ」
「だって三谷の顔が帰れって言ってんだもん」
「わたしが三谷くんと帰るってこと?」
「多分そういうこと」
「ええぇ……」
「そんな嫌そうな顔しないの」
「うぅぅ…わかったよ……。カナちゃんも気をつけて帰ってね……」
ホントは嫌だけど仕方ない。
「じゃあ、バイバイふたりとも」
カナちゃんに手を振ってバイバイをする。
去り際にカナちゃんが三谷くんに何か耳打ちをしていたようだけど、その声がわたしに届くことは無かった。