この夜、返品可能です。






「ごめんね有川。カナと帰りたかったろ」


本当ですわ、なんて言うのは流石に可哀想かな と思ったので、「大丈夫だよ」と当たり障りなく返す。



「有川に話したいことがあってさ。有川、駅使うっけ?」

「うん」

「俺、駅は使わないんだけどそっち方面なんだよね。途中まで一緒に帰ろうぜ」




カナちゃんも帰ってしまったので、仕方なく三谷くんの言葉に仕方なく頷く。


ていうかカナちゃんも駅方面なんだから一緒でも良かったんじゃ……と思うけれど、「察して」と言っていたから、きっとそんなに二人で話したいことがあったんだろう。


よく分からないけれど、わたしは宵くんに会うというラブでビックな予定があるので早歩きで帰りたい所存である。


普段はバイトや大学の付き合いがある宵くんだけど、今日は講義が午前中で終わる曜日なので、わたしが部屋を訪れる頃にはもう帰ってきているのだ。


それに今日は 緊張こそするものの聞きたいこともあったわけだし……そう、本当に 早く帰らねば。



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