導かれて、放れられない
「離せ!今デート中。
邪魔だ…!」
「え?いいじゃないですか!」
「もう一度言う。
離せ!邪魔!消えろ!
あーそうか、俺達が愛し合うとこ見たいの?」
そう言って、桔梗をグッと引き寄せ口唇を奪った。

「ンンン……」
突然のことで、目を真ん丸にしてフリーズしている、桔梗。
輝美もただ驚いて見ていた。

「………俺が愛してるのは、桔梗だけ!
お前、No.1だからって調子乗りすぎ!
それにお前のせいで、桔梗が苦しい思いをしたし……
もう…俺の前に現れるな!」
そして天聖は桔梗の手を引き、店を後にした。

「何よ、あれ……」
その店のドアを見つめ、輝美は呟く。
そしてある所に電話をかけた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「へぇー、この女?天聖の女」
「えぇ。確か、水田 桔梗って言ったかしら。
ねぇ…殺ってくれるの?」
輝美がある男に会っていた。

嫉妬心はほんとに、残酷な感情だ。
こんな風に、相手を殺してしまいたいと思える程の感情なのだから。

「水田?」
「何?」
「フフフ…ハハハッ……!」
突然、笑い出す男。

「何よ…!?」
「地獄だな!天聖にとって、この女は……
てか、逆か!
俺は今初めて“運命”を信じたよ!」
「は?」

「この二人は、残酷な運命を辿ってんだよ!」
「え?」
「水田 桔梗」
「………」
「天聖が初めて」
「………」
「殺した夫婦の“娘”だ!」



この男、剛田会の組長で、天聖の最悪の敵である。

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