とろけるような、キスをして。
「それに、その人のこと話してる時の野々村さんの顔。すごく良い顔してる。その人に会いたいって言ってるように見える。可愛くて、キラキラしてる。それってもう、恋って言っていいんじゃないかな」
しかし、橋本さんの言葉に少し安心する。
「……確かに、会いたいなって思います。会えなくても声が聞きたいなって思います。それってやっぱり、どうも想ってない人には抱かない気持ちですよね」
「うん。そうだと思うよ」
あれ以来、毎日のように夜に電話をしている。
"おやすみ"を聞いてから寝たいし、"みゃーこ"ってあの優しい声で呼んでほしい。声を聞くだけでも安心できて、次会えるまで頑張ろうって思える。
欲を言えば抱きしめてほしいし、キスだって……、してほしい。
「幸せそうな顔しちゃって。その人と、うまくいくといいね」
「……はい。今日、橋本さんと話せて良かったです。ありがとうございます」
「私も。野々村さんと飲みに来て良かった。いつかまたこっちに遊びに来る時は、連絡してね」
「はい」
橋本さんと別れて帰宅した後。
今日も無機質な音が着信を知らせる。
相手はもちろん修斗さんで。気持ちを再確認した後だからか、なんだかそわそわしてしまう。
『どうした?』なんて、心配されたって言えるわけもない。
「来週、そっちに帰るから」
『うん。迎え行けそうもないんだけど大丈夫か?』
「大丈夫だよ。子どもじゃあるまいし」
『でも心配だから、実家着いたら連絡して?』
「わかった」
修斗さんも年末だからか、いろいろと忙しいらしい。
まぁ、私も向こうに到着するのは夜遅くなりそうだから、そもそも会う時間など無いだろう。
数分喋った後、『おやすみ』を聞いてから電話を切った。