とろけるような、キスをして。


『みゃーこ?着いた?』


「うん。ただいま」


『おかえり』



 その声が聞こえた時。家のインターホンが鳴る。



「……誰だろ。こんな夜遅くに。ちょっと待ってて」



 パタパタと階段を降りて、玄関のドアを開ける。



「……え!?なんで!?」


「なんでって。会いたくて、我慢できなかったから」



 ドアの向こうには、そう言って照れたように笑う修斗さんの姿があった。



「もしかして、ずっと待ってたの!?」



 慌てて電話を切ると、ほんのり髪の毛に積もっている雪を払ってあげる。



「いや?大和んとこの手伝いに駆り出されて。それでそろそろみゃーこ帰ってくるだろうと思って抜け出してきた」



 確かに事前に飛行機の時間は伝えてあったけれど。


カフェから歩いてきたから雪が付いているのか。



「寒いでしょ、入りなよ」



中に入るように促す。



「いいよ。顔見に来ただけだし、すぐ大和んとこ戻らなきゃだから。むしろ非常識な時間にごめんな。びっくりしただろ」


「それは全然良いけど……」



 Vネックの薄手のニットにジーンズ、それにコートだけでとても寒そうだ。



「耳まで真っ赤じゃん。大丈夫?」


「うん。これくらい平気」



 そう言って笑った端から、くしゅんっ、と小さなくしゃみ。



「全然平気じゃないじゃん。風邪引くよ?ちょっと待ってて」



 修斗さんを無理矢理玄関の中に入れて、急いで階段を登って部屋に戻る。


鞄の中から紙袋を取り出して、部屋の電気を消して玄関に戻った。


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