とろけるような、キスをして。
お返し
「……そろそろ、行かないと」
「……ん。わかった」
そっと離してくれた修斗さん。私と同じで名残惜しそうだけれど、なんだか嬉しそう。
「みゃーこはこれ運び終わったらもう帰るの?」
「うん。修斗さんは?」
「俺ももう終わり。一緒に帰ろ」
頷いて、一緒にDVDを職員室に持っていく。
「あぁ、野々村さんありがとう。助かりました。深山先生も手伝ってくれたんですね。ありがとう」
「いえ。偶然旧校舎で会ったので。教頭も病み上がりなんですから、今日はもうお帰りになったほうがいいですよ」
「そうですね。野々村さんも引き止めてすみませんでした。お疲れ様です」
「私は大丈夫ですから気にしないでください。お先に失礼します。お疲れ様です」
修斗さんと二人並んで教頭先生に頭を下げる。
校舎を出て、裏手にある職員用の駐車場で久しぶりの修斗さんの車に乗り込んだ。
「みゃーこと帰れるなら、歩きでも良かったかも」
「確かに。そうかもね」
シートベルトをして、他愛無い話をしながら私の家へ。
「そういえば、なんで旧校舎にいたの?」
「ん?あぁ、部活終わって帰ろうと思ってたら部活で使ってた教室に忘れ物したの思い出して。取りに戻ってた」
「そうだったんだ。……修斗さんって結局何部の顧問なの?」
「俺?俺は一応調理部の顧問だけど」
「え、調理部!?」
予想外の答えに、声が大きくなる。
修斗さんはケラケラと笑った。