とろけるような、キスをして。
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「お食事は十八時にこちらにお持ちしてもよろしいでしょうか」
「はい。お願いします」
「大浴場は男女交代制です。時間は───」
夕方になると、雪が降り始めてきた。
車を降りて積もった雪を踏みしめながら宿に入った私たちは、早速案内された部屋に荷物を置いた。
「うわ、ひろーい。すごい」
「本当だな。畳の良い匂い」
「そうだね」
部屋を見渡し、窓際に近付く。
「あ、あれお風呂?」
「そう、ゆっくりしようと思って露天風呂付きの部屋にした」
広い和室は、大きな窓の向こうにベランダがあり、露天風呂がついていた。
すでにそこからは湯気が漂っており、風に乗って外へ向かっていく。
そしてその向かう先には、雪化粧が施された大きな川と森林があった。
「後で一緒に入ろうな?」
「っ!」
隣に並んだ姿を見上げる。その麗しいその微笑みに、私は顔を真っ赤にしながらゆっくりと一つ頷いた。
「あれ?いいの?もっと拒否られると思ってたんだけど。みゃーこがすぐに頷くなんて珍しいな?」
いつもお互いの家に泊まる時も、お風呂は頑なに一人で入ってきた。
もちろん、それは恥ずかしいからというのが大きな理由だが。
「……だって、修斗さん長い時間運転してくれたし。いつもお仕事頑張ってるし。……私と一緒に入って少しでも癒されるなら……と思って」
言ったら言ったで逃げ出したくなるくらいに恥ずかしくて、窓際から離れようとする。
しかしそれは叶わず、逃げる前にグイッと引き寄せられて後ろから腕の中に閉じ込められた。