とろけるような、キスをして。
───いつから?
それから一ヶ月の月日が流れた。
四月になり、新年度を迎えて修斗さんは持ち上がりで三年生の担任を受け持つことになった。
進学クラスらしく、生徒たちの中には東京にある大学を志望している子も多いと聞く。
私は、相変わらず千代田さんと協力しながら事務の仕事をこなしていた。
三ヶ月もすれば大体の業務は全て覚えており、受験シーズンを乗り越えたからか、大抵のことなら楽にこなせるようになってきた。
そんなとある日の、昼休憩の時間。
飲み物を買いに、昇降口にある自動販売機に行ってお茶を買った帰り道で、それは起こった。
「……あの」
後ろから鈴が鳴るような綺麗な声で話しかけられて、足を止めた。
「……?はい、何か?」
振り向くと、そこには黒髪のサラサラなロングヘアが綺麗な女子生徒の姿。
最近は着崩す生徒も多い中、比較的校則通りに制服を着こなしているその少女は、ナチュラルメイクを施した可愛らしい二重の目でこちらを射抜くように見つめる。
「事務の、野々村さん、ですよね?」
「はい、そうですけど……。貴女は?」
「私は三年A組の立花 愛紗です」
三年A組と言えば、修斗さんが新しく受け持つことになったクラスだ。
進学クラスの生徒が、私に何の用だろうか。