とろけるような、キスをして。
「じゃあ先生は、いつから野々村さんのこと好きなんですか」
「えー?グイグイ来るなぁ。まぁいいか。……そーだな、あいつが卒業した時に自覚したから、ざっと数えても七年越しかな?」
思わず叫びそうになって、口元を手で押さえた。
そんな前から?七年も前から?
この街を出て行ったっきり、もう二度と会えないかもしれない私を?ずっと?
「……そんなに、前から」
「そう。だからようやく叶ったんだよね」
それならば、この七年の間、一体どんな気持ちで私を想っていてくれたの?
「だから俺、今めちゃくちゃ幸せなんだよね。やっと叶ったから邪魔されたくないし、放っておいて欲しいのが本音」
目の奥が揺れる。段々と視界が霞み、滲んだ涙をそっと拭った。
「七年……、わかりました。答えてくれて、ありがとう」
「いーえ。でも、これ以上噂広まったらあいつが悩むから、頼むから内緒にしといてくれよ」
「わかりました」
「噂なんて放っておけば皆飽きるんだから。わかったら授業戻れ。サボんなよ」
「はい」
立花さんが慌ただしく教室に向かって走る音が響き、少ししてから誰かが階段を降りる音がする。