とろけるような、キスをして。
夏期講習を受けていたみゃーこは職員室に呼ばれたものの、当たり前だが話を聞いてもすぐには理解できなかったようだ。
ちょうどみゃーこの担任は講習中、四ノ宮先生は有休を取得しており学校におらず。そのため今いる教師の中で一番親しい俺が呆然としているみゃーこに付き添って警察まで向かった。
案内された霊安室の中で、顔に白い布がかかった二人分のご遺体。
それをめくろうとする手を、案内してくれた警察官が、止めた。
「……今のご両親を見ると、ショックを受けると思います。印象が強すぎて、元気だった頃のご両親の顔を思い出せなくなってしまうかもしれない。それでも、見ますか?」
それほどまでに事故の衝撃は強く、遺体の損傷が激しいということだった。
みゃーこは震える身体で、頷く。
「……見ます。もしかしたら、両親じゃないかもしれないから」
私しか、確認できないから。
そう言って、最後まで信じないように気丈に振る舞っていた。
その背中を支えるように手を添えて立ったのは、無意識だ。
「っ……!?」
白い布の向こうにいたのは、顔が変形してしまい元々どんな顔だったのかもわからない姿だった。
血や泥は綺麗に拭いてあったものの、縫合しきれなかった傷が生々しくて、みゃーこはすぐに布をかけなおした。