とろけるような、キスをして。
「あ、深山先生」
「四ノ宮先生」
「先生もコーヒー飲みにきたの?」
ある時、ロトンヌでコーヒーを飲んでいると四ノ宮先生が隣に座った。
そして、生徒たちの話をしている時に、電話がかかってきた。
「もしもし、美也子?」
その声に、俺はカウンターに突っ伏していた顔をパッとあげた。
「美也子、元気にしてる?ちゃんとご飯食べてる?」
その会話に耳を澄ませるものの、当然ながらみゃーこの声は聞こえない。
大和と雛乃も"みゃーこちゃん?"と口パクで俺に聞いてきて、"たぶん"と返すと数回頷いた。
一分ほどで終わった電話。
四ノ宮先生がスマートフォンの終話ボタンをタップした瞬間に我慢できずに詰め寄った。
「先生、今のってみゃーこ?」
「え?うん。そうだけど」
「みゃーこと連絡取ってんの?」
「そりゃ、従姉妹だし。心配だからね。週に二、三回は電話で喋るよ」
「……マジか」
俺も卒業式の時に連絡先聞けばよかった。
「何、どうしたの深山先生」
「こいつね、みゃーこちゃんのこと本気で好きになっちゃったらしくて。それで毎日のように落ち込んではここでコーヒー飲んで俺に愚痴るんだよ」
「え、そうだったの!?」
「うん……」
四ノ宮先生は俺とみゃーこが仲が良いとは思っていたものの、まさかそんなことになってるとは思いもせずに驚いていた。
そして、それ以来みゃーこと電話したり連絡を取ったりすると、必ず俺に教えてくれるようになった。