とろけるような、キスをして。
新たな選択肢
宣言通り、先生は焼肉屋さんに連れて行ってくれた。
「みゃーこは飲んでいいからね」
メニューを開きながら何を頼もうか見ていると、先生にアルコールメニューを渡された。
「え、いいよ。先生飲まないのに私だけなんて」
そのまま先生の車で来たため、先生は飲めない。
「俺のことは気にしなくていいから」
「でも……」
私一人で飲むのは、やっぱり気が引ける。
「……実は俺さ、あんまり酒飲めないの」
「え?そうなの?意外」
酒豪とまではいかないけれど、お酒強そうな顔してるのに。
「弱いのにたくさん飲んじゃって、酔っ払って記憶無くして皆に迷惑かけるから、今職場から酒禁止令出されてんのさ」
「……一体何やらかしたら禁止令出されんのよ」
「……ははは、それは俺も聞きたいくらい」
だから、俺はいいの。みゃーこにまで迷惑かけるわけにいかないから、と。
どこまでが本当の話かはわからないけれど、先生がそこまで言うなら、とハイボールを注文。
好きなお肉をいくつか頼んで、先生も自分の好きなものを頼んで。
すぐに運ばれてきた私のハイボールと先生の烏龍茶。
ジョッキを合わせて、乾杯した。
「みゃーこって意外と酒強いタイプ?」
「んーん。そんなに。でもお酒は好き。こういう居酒屋の空気も好き」
「わかる。俺もこの空気好き。おかわり好きなの飲んでいいからね」
「うん。ありがとう」
先生は本当に嬉しそうに笑う。もしかしたら先生は、誰かがお酒を飲んでいるところを見るのが好きなのかもしれない。
お肉が運ばれてきて、二人で網に乗せる。
お肉の色がだんだん変わるのを見つめていると、先生が口を開いた。