とろけるような、キスをして。
『今日な?四ノ宮先生がさ───』
「ふふっ、なにそれ楽しそう」
『だろ?でさー……───』
会話の内容はくだらないのに、元気が出るというか、心が穏やかになれるというか。
しかも、私が寂しくなりそうなタイミングを狙っているかのように電話が来るから不思議だ。
「先生、私明日会議だから早く寝なきゃ」
『あ、もうこんな時間?ごめんな、話しすぎた』
「ううん。電話嬉しかった。ありがとう。おやすみなさい」
『可愛いこと言うなあ。……おやすみみゃーこ」
先生の言う"おやすみ"を聞くと、その日の夜はいい夢を見ることができるって、最近気が付いた。
"おかえり"とか、"ただいま"とか、"おやすみ"とか。そういうことを言い合える相手がいるのって、いいなあって。
先生は話の流れでそう言ってるだけなのはわかっているけれど、いつのまにか先生からの"おやすみ"を聞くのが楽しみになってしまっていた。