とろけるような、キスをして。
すると深山先生が待ってましたとばかりに私の元へ走ってくる。
「おかえり。どうだった?」
「うん。面接っていうより後半はほとんどお茶会みたいな感じだった」
小声で先生に答えると、「何だそれ」と面白そうに笑う。
だってその通りなんだから仕方ない。他にどう表現しろと言うのか。
「採用決まった?」
「うん。先生もいろいろありがとう」
「良かった」
一時間経っていたものの、職員室にいる先生方の人数は全く変わっていない。むしろさっきより皆さんパソコンを見る目が血走っているような気さえする。試験問題を作るのって、大変なんだなあ……。
そっと職員室を出ると、「あ、美也子!」と晴美姉ちゃんとも遭遇した。
「どうだった?」
二人揃って同じことを聞くから、さっき先生に答えたのと同じ返事をした。
晴美姉ちゃんはそれだけでどんな面接だったのかを悟ったらしく、「あの人話好きだからね」と納得していた。
「でも面接うまくいったみたいで良かった。安心した」
「うん。ありがとう」
少しだけ喋った後、晴美姉ちゃんは慌てて腕時計で時間を確認して、両手を合わせた。
「ごめんね美也子。私まだ試験作り終わってないから今日中にやらないといけなくて。また後で連絡するね!」
「うん。私も足止めさせちゃってごめんね。大丈夫だから気にしないで。晴美姉ちゃん、頑張ってね」
手を振って晴美姉ちゃんを見送っていると、職員室から「深山先生!ちょっといいですか!?」と私と同い年くらいの教師が顔を出す。