とろけるような、キスをして。
「掃除してたって?一人で?この家全部?」
「うん。だってこっちに帰ってきたら私ここに住むから。今のうちから整理しておかないと」
「なるほどね。それなら俺も手伝うよ」
「……ううん。大丈夫。ここは両親との思い出がいっぱいだから。それを思い出しながら一人でゆっくりやりたいなって、思って」
「……そっか。そうだよな。俺が無神経だったわ。ごめん」
「ううん。ありがとう」
先生の方は用事が終わったらしい。
窓から外を見るともう薄暗くなり始めていた。
続きはまた明日にしよう。
「先生、晩ご飯何食べたい?」
「うーん、みゃーこの得意料理が良い」
「得意料理……わかった。買い物行っても良いかな?」
「ん。行くか」
先生の車に乗り込み、近くのスーパーへ。
先生がカートを押してくれて、私はその横で食材をカゴに入れていく。
「なんかこういうのって、夫婦みたいだな」
「なっ……変なこと言わないでよ。ほらっ、お肉見にいくよ」
「はいはい」
締まりの無い表情の先生。何がそんなに嬉しいのか。
お肉コーナーで挽肉を手に取り、カゴに入れる。
得意料理と言えるほどのクオリティかどうかはわからないものの、泊めてもらうお礼だ。
どうせなら頑張って美味しいって言われたい。