とろけるような、キスをして。



「何作るの?」


「……ハンバーグ」



 子どもっぽいかな。そう思いながら言うと、



「お、やった。俺ハンバーグ大好き」



と嬉しそうな顔。



「俺チーズ入りがいい」



と一人でチーズを探しに行く先生を後ろから追いかける。


 付け合わせの野菜も買って、先生の家にある調味料を聞いて足りないものを買って。


 明日の夕食分の買い物も済ませておく。



「酒は?飲むか?」


「でも先生飲めないんでしょ?ならいいよ」


「弱いだけで酒は好きなんだよ。せっかくだからみゃーこと一緒に飲みたいし」


「んー……でも先生は明日も仕事でしょ?飲むなら明日の夜にしようよ」


「あ、それもそうだな」



 どうやらあまりお酒に強くない割に家にビールはあるらしい。なんでも学生時代の友人が置いて行ったんだとか。



「じゃあ明日は唐揚げも追加しようか?」


「お、いいね。最高じゃん」



 鶏肉も追加で買って、スーパーを出た。


 先生の家は、前回外観だけ見たマンションの一室。


エレベーターで五階に上がると、五〇二号室に案内された。



「どうぞ」


「お邪魔します……」



 広い玄関を抜けると、正面にドアが一つと左右に二つずつドアがあった。



「こっちが俺の寝室。そっちの部屋が空き部屋だから、みゃーこ使っていいよ」



 向かって右のドアを指さされ、「わかった。ありがとう」と頷く。


どうやら他のドアはトイレと洗面所のよう。その先にお風呂があるようだ。


 借りる部屋に入ると、シンプルにクローゼットと小さなテーブルと椅子がある。


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