とろけるような、キスをして。


「それ、新品の布団出しといたから」


「いいの?新品なんて使わせてもらって」


「誰かが使ったのとか嫌だろ。俺もそんなのみゃーこに使わせたくないから」



 当たり前のように言って、先生は



「荷物置いたらリビング来て」



と言って部屋を出ていく。


 確かに使われていないのだろう、がらんとした印象の部屋に、自分の荷物を置いて先生の後を追いかける。


リビングに入ると、白い壁紙と対比するようなシックな色の家具が目に入る。


グレーやブラックなど、モノトーンで統一された部屋はとても落ち着きがあって綺麗だ。


 大人な雰囲気が先生のイメージにピッタリ。


 先生は「こっちがキッチン。好きに使って」と買ってきた荷物を早速冷蔵庫に入れてくれる。


 今日はハンバーグと言ったからか、その材料はわかりやすくまとめてキッチンに置いてくれた。


先生も自炊するらしいからか、キッチンは生活感にあふれていた。


 しかしそれは決して汚いわけではなくて、洗い終わった食器が水切り桶に入っているなど、"普段からちゃんと料理しているんだなあ"とわかるもの。


 そんな中でも片付いているのは、先生曰く"昨日頑張った"らしい。



「もう作り始めちゃって大丈夫?お腹空いてる?」



 壁に掛かっている時計に目をやると、まだ十六時過ぎだ。


ちょっと夕食には早いような気もするけれど。


< 65 / 196 >

この作品をシェア

pagetop