とろけるような、キスをして。
「それ、新品の布団出しといたから」
「いいの?新品なんて使わせてもらって」
「誰かが使ったのとか嫌だろ。俺もそんなのみゃーこに使わせたくないから」
当たり前のように言って、先生は
「荷物置いたらリビング来て」
と言って部屋を出ていく。
確かに使われていないのだろう、がらんとした印象の部屋に、自分の荷物を置いて先生の後を追いかける。
リビングに入ると、白い壁紙と対比するようなシックな色の家具が目に入る。
グレーやブラックなど、モノトーンで統一された部屋はとても落ち着きがあって綺麗だ。
大人な雰囲気が先生のイメージにピッタリ。
先生は「こっちがキッチン。好きに使って」と買ってきた荷物を早速冷蔵庫に入れてくれる。
今日はハンバーグと言ったからか、その材料はわかりやすくまとめてキッチンに置いてくれた。
先生も自炊するらしいからか、キッチンは生活感にあふれていた。
しかしそれは決して汚いわけではなくて、洗い終わった食器が水切り桶に入っているなど、"普段からちゃんと料理しているんだなあ"とわかるもの。
そんな中でも片付いているのは、先生曰く"昨日頑張った"らしい。
「もう作り始めちゃって大丈夫?お腹空いてる?」
壁に掛かっている時計に目をやると、まだ十六時過ぎだ。
ちょっと夕食には早いような気もするけれど。