とろけるような、キスをして。
「久しぶりじゃない。どうしたの?こっちに戻ってきたの?帰省か何か?」
私とわかるとすぐに駆け寄ってきてくれて、強く抱きしめられた。
もちろん、雛乃さんは私が東京に就職したことを知っている一人だ。
「今度、仕事辞めてこっちに戻ってくる予定なんです。」
「うそ!いつ!?ちょっと大和!みゃーこちゃん!みゃーこちゃんこっちに帰ってくるんだって!」
奥のキッチンにいた大和さんが、雛乃さんの声に驚いたようにバタバタと走って出てくる。
「え!?みゃーこちゃん!?」
「あ、ご無沙汰しております」
「わあ、マジでみゃーこちゃんじゃん!久しぶり!」
実は大和さんは、深山先生の学生時代の友人だ。
元々私はここのホットチョコレートが好きで通っていたのだが、私の制服姿を見て先生の生徒だと分かった大和さんが話を振ってきて。
先生の話で盛り上がって仲良くなった。
そのツテで、アルバイトもしたのだ。
「え、それ修斗も知ってんの?」
「はい。深山先生に帰ってこいって言われて……」
「え、何それ何それ!ちょっと詳しく!あ、何か食べる!?」
「あ、はい。お腹空いちゃって。久しぶりにお二人の作ったもの食べたくて来ました」
久しぶりの再会が嬉しくて笑顔を向ける。
「んあああ!可愛い!みゃーこちゃん大人っぽくなったと思ってたけどやっぱり相変わらず可愛い!ちょっと待っててね、今急いで作るからね!」
雛乃さんはそう叫んでカウンターの中に入っていく。
私は大和さんに「座って」と促され、カウンター席の端に腰掛けた。