とろけるような、キスをして。
気持ちの変化と甘い夜
その日の夜は、先生が缶ビールを飲むと言って聞かなくて一缶だけあけた。
すぐに顔を真っ赤にしながらも潰れることもなく、楽しそうに笑っていた先生。
どうやら二缶飲むと記憶を無くしてしまうようで、残りのビールが先生の視界に入らないよう、隠すのに必死だった。
今日も一緒に寝ると私の身が持たないため、先生の頭が働いているうちに私は先に部屋に戻り、自分で布団を敷いて寝床についた。
先生は酔っていたからか、「みゃーこと一緒に寝たい」と頻りに言っていたものの。
シラフでも理性云々言ってたし、酔った先生と一緒に寝るなんて絶対危険だ。
今日はちゃんと一人でぐっすり眠れそうだ。
そう思っていたのに、実際に布団に潜っても中々睡魔は襲って来なくて。
あの甘い香りが恋しい、なんて。
そんな考えは頭の隅に追いやる。
身体は疲れていたからか、ぎゅっと目を瞑っているうちに知らぬ間に眠りに落ちていた。
土曜日は先生に断りを入れて、一人で伯母さんや親戚の家に挨拶と謝罪に回った。
と言っても先生の言っていた通り皆怒ってなどいなくて。
「今まで帰って来なかったこと、ちゃんと両親に謝っておくこと」
と諭すように言われただけだ。どちらかというと久しぶりに訪ねて来た私を歓迎してくれていたように思う。
確かに言われてみれば、私が帰ってこなかったことや両親に会いにお墓参りにも行かなかったことを一番怒っているのは両親だろう。
"どうして会いに来ないんだ"って。