どこまでも
「限界」

 汚れをふき取りうつぶせて気だるげに横になっていると、禄朗は体を起こしベッドから抜け出していった。冷蔵庫を開けたのか、薄暗い部屋の中に小さく明かりが広がる。

「喉乾いたろ」
「うん」

 ペットボトルに入った水をよこしながら彼が隣に腰かけると、ベッドがギシリときしんだ音を立てた。

 そのまま優希の腰のあたりを指で撫でる。

「これ」

 とろけるような甘い声で囁きながら、指に力を入れた。ちょうどS字ライン、腰の骨の辺りの下着をつけていればわからない場所に小さなほくろが三つ並んである。

 自分でも気がつかなかったそれを見つけたのは、禄朗だ。初めて体を交わした時のことだった。

「オリオン座見るたび思い出してた」

 ぐ、っとスイッチを押すように三つのほくろを指でさらう。直結して中が疼いでしまうのをごまかしながら「ほくろ?」と問いかけた。

「そう、やけに色っぽくて、好きだ」

 顔を近づけてきてその場所を舐め上げていく。冷たい水を飲んだ後の舌が冷たくて、優希は体を震わせた。

「冷たい」
「ん」

 そのまま強く吸われ脱力した体が刺激に過剰に反応する。

「……っや」

 四回、小さな痛みが走る。

「何やってんの……」

 視線を向けると禄朗は満足そうに立ち上がり、荷物をゴソゴソとあさっている。愛用のカメラを優希に向けると軽いシャッター音が部屋に響いた。
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