どこまでも
 何枚か撮り終わると、無邪気にカメラを携えてベッドへ戻ってくる。

「見てみ。優希のオリオン」

 画面をのぞき込めば腰のS字ラインに三つのほくろと、それを取り囲むような紅い印。キスマークが散らばっている。

 それがまるで星座のように形作られ、優希の気だるさとともにそこに収まっていた。

「知ってる?オリオン座ってさ、ほかの星を見つける目印になるんだってさ」

 レンズを覗き込みながら禄朗は話し出した。

「そうなの?」

 星のことに詳しくない優希は、顔だけ彼に向けて先を促す。

「知らなかったな」
「だから優希のことを考えるたびオリオンを思い描く。自分の進みたい道を思い出すんだ。目印ってほんとだな」

 カシャ、と再び音が鳴る。

「気だるそうにしてる優希を撮るのすげえ好き。おれだけしか見れない姿だって、いつも優越感に浸ってた」

 散々禄朗に乱され啼かされて力が尽きた優希は、本当にきれいだと彼は囁く。

「今もこれからもおれだけのものにしたい」
「……禄朗」
「もっと見せて」

 愛おしげな手のひらが優希の背中を撫でていく。

 それは官能を呼び起こす触れ方ではなく、何か大事なものを丁寧に扱っているかのような柔らかさだった。
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