どこまでも
話を聞いていたのだろう、ケイトも同じことを言う。
「管理不足で迷惑をかけてしまったのはこちらの方です」
優希にカップを差し出しながら、柔らかく微笑む。
「俺も禄朗にはたくさんお世話になったんです。だから遠慮なく使ってください」
「そうしなよ。ぼくたちはここの最上階に住んでるし、前に話したアーティストの卵たちも何人かここに住んでいる。優希だけ特別ってわけじゃないから、遠慮はいらないよ」
Allyは傍らのケイトの肩に腕を回すと、親密そうに頬を寄せた。
「ケイトはぼくのパートナーなんだ」
「え……、えっ?そうなの?!」
失礼とは思いながらもまじまじとケイトを見つめてしまった。こう言ってはなんだけど禄朗と全くタイプが違う。全くの正反対だと言ってもいいくらいに。
「禄朗とは全然違うでしょう」
ぶしつけな視線に嫌な顔をせず、ケイトはおかしそうに笑った。
「Allyと禄朗のことは有名ですから、いろんな人に驚かれます」
「すみません、そういうつもりじゃなくて……」
モゴモゴと言葉を濁す優希に、Allyは「だから言ったでしょ」と苦く笑った。
「あの頃のぼくとは違うんだって」
「うん、幸せそうだ」
どこから見てもお似合いのパートナーだ。
尖って誰にでも牙をむいていたAllyとは全く違う。余裕のある穏やかさは彼がもたらしてくれたものなのかもしれない。
そばにいる大切な人に影響され、誰だって大きく変化していく時がある。優希がそうだったように。
Allyの相手はケイトだったということだ。
「じゃあ、甘えてお邪魔させてもらうよ。何から何までありがとう」
「よし。案内するよ」
優希の荷物をもって、Allyは建物の中を案内し始めた。
1Fと2Fだけは事務所として使われていて、3Fより上が居住スペースとして使われているらしい。共同スペースにはキッチンが設置してあり、自由に使えると説明する。
冷蔵庫の食材はそれぞれ名前をつけておいてあるので、気をつけてほしいとのことだった。
「たまに間違えて食べられたって喧嘩が始まる」
現在は七名のアーティストの卵が、ここで羽化する日を待ちわびているとのことだった。
「彼らはみんな才能があって面白いやつらだから、きっとすぐ仲良くなれるよ」
「管理不足で迷惑をかけてしまったのはこちらの方です」
優希にカップを差し出しながら、柔らかく微笑む。
「俺も禄朗にはたくさんお世話になったんです。だから遠慮なく使ってください」
「そうしなよ。ぼくたちはここの最上階に住んでるし、前に話したアーティストの卵たちも何人かここに住んでいる。優希だけ特別ってわけじゃないから、遠慮はいらないよ」
Allyは傍らのケイトの肩に腕を回すと、親密そうに頬を寄せた。
「ケイトはぼくのパートナーなんだ」
「え……、えっ?そうなの?!」
失礼とは思いながらもまじまじとケイトを見つめてしまった。こう言ってはなんだけど禄朗と全くタイプが違う。全くの正反対だと言ってもいいくらいに。
「禄朗とは全然違うでしょう」
ぶしつけな視線に嫌な顔をせず、ケイトはおかしそうに笑った。
「Allyと禄朗のことは有名ですから、いろんな人に驚かれます」
「すみません、そういうつもりじゃなくて……」
モゴモゴと言葉を濁す優希に、Allyは「だから言ったでしょ」と苦く笑った。
「あの頃のぼくとは違うんだって」
「うん、幸せそうだ」
どこから見てもお似合いのパートナーだ。
尖って誰にでも牙をむいていたAllyとは全く違う。余裕のある穏やかさは彼がもたらしてくれたものなのかもしれない。
そばにいる大切な人に影響され、誰だって大きく変化していく時がある。優希がそうだったように。
Allyの相手はケイトだったということだ。
「じゃあ、甘えてお邪魔させてもらうよ。何から何までありがとう」
「よし。案内するよ」
優希の荷物をもって、Allyは建物の中を案内し始めた。
1Fと2Fだけは事務所として使われていて、3Fより上が居住スペースとして使われているらしい。共同スペースにはキッチンが設置してあり、自由に使えると説明する。
冷蔵庫の食材はそれぞれ名前をつけておいてあるので、気をつけてほしいとのことだった。
「たまに間違えて食べられたって喧嘩が始まる」
現在は七名のアーティストの卵が、ここで羽化する日を待ちわびているとのことだった。
「彼らはみんな才能があって面白いやつらだから、きっとすぐ仲良くなれるよ」