どこまでも
「禄朗もステキな人ですが、Allyもなかなかですよ」
くすぐったい微笑みを浮かべるケイトを見て、Allyはもう大丈夫なんだなと確信した。愛されたがりの傲慢な男の子は、器の大きな男へ変貌を遂げたのだ。
「ごちそうさまです」
からかうように答えると、ケイトは笑みを浮かべた。
「あ、パン屋につきました」
慌ててケイトがパン屋の前で足を止める。恥じらう姿がとても可愛らしかった。
ベーカリーは赤いドアがかわいらしい小さなお店だった。次から次へ人が入っていき、幸せな表情を浮かべてお店から出てくる。かなりの人気店らしい。
「ついでにランチも買っていきましょう」
ガラスケース越しに注文をしていたケイトはそう言いながら、サンドウィッチセットも二個追加で注文した。
「優希に聞いていた話から、めぼしい場所をいくつかピックアップしました。朝食を食べたら出発しましょう。その時に持っていってください」
「ケイト……」
「気持ちが逸りますよね。でもしっかり腹ごしらえをして準備を整えていきましょう」
「はい」
香ばしいにおいのするパンを抱えて帰宅すると、Allyがテーブルの上に地図を広げ、いくつかの場所に丸を付けていた。
パンの香りに気がついたのか顔を上げ、「おはよう」とあいさつする。
「おはよう、Ally」
「昨夜はちゃんと眠れた?」
腰に腕を回し抱きしめると、頬に軽いキスを送られる。さすが外人だなあと苦く笑いながら、「おかげさまで」と答えた。
「意識がなくなるってああいうことなのかも。気がつけば朝だったよ」
「それは良かった。さ、ご飯を食べたら予定を立てよう」
紙袋の中からパンを取り出し切り分ける。パリパリの皮とふんわりとした中身のバランスに、おなかがグウっと音を立てた。焼いて間もないからか湯気が立ち上り、食欲が一気にわいた。
「コーヒーもどうぞ」
ポットで入れてもらったコーヒーをカップに注ぐと、これもまた香ばしい香りが広がった。
「禄朗も好きだったよね」
「毎朝買いに行ってた」
テーブルにつき食事をし合う光景に、次は禄朗も混ざっていればいいと願う。優希がここに来たこと、どう思うのだろうか。何しに来たんだって不機嫌そうにするだろうか。それとも喜んでくれるだろうか。
くすぐったい微笑みを浮かべるケイトを見て、Allyはもう大丈夫なんだなと確信した。愛されたがりの傲慢な男の子は、器の大きな男へ変貌を遂げたのだ。
「ごちそうさまです」
からかうように答えると、ケイトは笑みを浮かべた。
「あ、パン屋につきました」
慌ててケイトがパン屋の前で足を止める。恥じらう姿がとても可愛らしかった。
ベーカリーは赤いドアがかわいらしい小さなお店だった。次から次へ人が入っていき、幸せな表情を浮かべてお店から出てくる。かなりの人気店らしい。
「ついでにランチも買っていきましょう」
ガラスケース越しに注文をしていたケイトはそう言いながら、サンドウィッチセットも二個追加で注文した。
「優希に聞いていた話から、めぼしい場所をいくつかピックアップしました。朝食を食べたら出発しましょう。その時に持っていってください」
「ケイト……」
「気持ちが逸りますよね。でもしっかり腹ごしらえをして準備を整えていきましょう」
「はい」
香ばしいにおいのするパンを抱えて帰宅すると、Allyがテーブルの上に地図を広げ、いくつかの場所に丸を付けていた。
パンの香りに気がついたのか顔を上げ、「おはよう」とあいさつする。
「おはよう、Ally」
「昨夜はちゃんと眠れた?」
腰に腕を回し抱きしめると、頬に軽いキスを送られる。さすが外人だなあと苦く笑いながら、「おかげさまで」と答えた。
「意識がなくなるってああいうことなのかも。気がつけば朝だったよ」
「それは良かった。さ、ご飯を食べたら予定を立てよう」
紙袋の中からパンを取り出し切り分ける。パリパリの皮とふんわりとした中身のバランスに、おなかがグウっと音を立てた。焼いて間もないからか湯気が立ち上り、食欲が一気にわいた。
「コーヒーもどうぞ」
ポットで入れてもらったコーヒーをカップに注ぐと、これもまた香ばしい香りが広がった。
「禄朗も好きだったよね」
「毎朝買いに行ってた」
テーブルにつき食事をし合う光景に、次は禄朗も混ざっていればいいと願う。優希がここに来たこと、どう思うのだろうか。何しに来たんだって不機嫌そうにするだろうか。それとも喜んでくれるだろうか。