どこまでも
 おなかを満たすとAllyは再び地図を広げ、星がきれいに見えると評判の場所をいくつか教えてくれた。

「何にもないだだっ広い場所まで結構車で走ると思う。ドライブにつきあってもらうけど大丈夫?」
「よろしくお願いします」

 意地を張っても意味がないので、ドライバーをAllyに頼む。優希だけの力では限りがあるだろう。

「ぼくも何か所か調べてみたんだけど、そこにも行ける?」

 禄朗の話してくれたことを思い出しながら、それとなく記憶に残っている地名を探した。中には星がきれいだと書き込まれている場所もあったから、可能性はあるだろう。

「調べたの?」
「うん。といっても土地勘がないから、当てにはならないかもしれないけど……行ってみたい」
「よし、そこも行こう」

 数日分の荷物を積んで、昼前に出発することにした。

「多分、夕方には到着できると思う。もしホテルが見つからなかったら車で寝ることになると思うけど」
「平気です」

 贅沢な旅行に来たわけではないのだ。

「じゃ、行こうか」

 空港からここまで来たのとは違う大きな車に乗り換え、フラットシートの後部座席に寝袋なども積み込まれていた。キャンプにでも行くのかと思うような装備だ。

「もし星空を収めようと思っていたら寒空の中にいるはずだからね。こちらもしっかり防備していかないと」
「何から何までありがとう」

 助手席に乗り込むと、見送りに出ていたケイトは窓越しにAllyとキスを交わした。

「気をつけていってきてください」
「留守番を頼んだよ」
「任せてください。優希も、禄朗が見つかりますように」
「ありがとう」

 静かに出発した車はみるみる加速し、ケイトは見えなくなった。カーステレオからラジオが流れ陽気なDJが何かをしゃべっている。
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