どこまでも
「ただいま」

 冷えた体で車に戻る。いつでも横になれるよう、寝袋が用意されていた。成果がないことは一目でわかっただろう。

「明日も早いからもう寝ようか」
「うん、ありがとうAlly」



 疲れていたのかよく眠った。眩しさに目を開けると木々の間から太陽が顔を出そうとし、発光する力強さで辺りを照らしている。

 新しい一日がやってきたのだ。それは力に満ち溢れ、希望へとつながっていく。

 コーヒーを沸かし、パンを食べると次の場所へ出発した。いくつもの夜をそうやって過ごし、かなり遠くまで来たというのに禄朗の手がかりはどこにもなかった。

 心配しているだろうケイトに、毎日定期的にコールを入れるAllyにも疲労が強く浮かんできた。ここで一度戻るべきかもしれない。

「次は……優希が気になるって言ってたポイントだね」
「うん。でもここにいなかったら一度帰ろう」

 優希の提案にAllyは少しだけ抵抗を見せた。だけど「一回休んでほしい」という気持ちを受け入れ、少しだけほっとした笑みを浮かべる。

「じゃあ、行こうか」

 車を走らせあまり期待もしないままドライブインに寄ると、そこのマスターは写真をみて「ああ」と頷いた。

「来たよ。つい最近かなあ。こんな辺鄙(へんぴ)なところに何をしに来たんだって聞いたら、『探し物』って答えてた変な奴だったなあ」
「本当ですか?!どこに行くとか、また来るとか、何か言ってましたか?」

 優希の剣幕に少しだけ身を引きながらも、「さあなあ」と口ひげをひねった。

「いちいちそんなことをいう客もいないだろ。常連でもないし、知らないなあ」
「そうですか。ありがとうございます。もし、現れたらこちらに連絡をもらえませんか?」

 スマホの番号を渡すとマスターは頷き、それをポケットにしまった。

「あいつを探しているのかい?何か事件とか……」

 好奇心を持った視線に首を振り、「人探しです」と答える。ここにいたことは分かった。かなり大きな収穫だ。

「捕まえる」

 やっと手に入れた足跡を逃さない。
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