どこまでも
「どう償っていいのかわからないけど、でも、この先の優希は絶対傷つけない。約束する」
「禄朗……」

 広い背中にしがみつきながらそれに応える。

「うん。これからを見ていきたいんだ」

 Allyとケイトにも向き合って伝える。

「ぼくはここにいたい。みんなと一緒に何かを作り上げていきたい。だから、これでいいことにしませんか?こんな素敵な場所を壊したくないんです」
「優希……」

 ケイトはAllyの腕をつかみしっかり立たせると、優希の前に押し出した。

「ちゃんと謝って」

 フラフラとAllyはやってきて頭を下げる。

「優希……あの時はひどいことをしてしまって申し訳ありませんでした」
「うん、これからもよろしく。Ally」

 手を差し出して握手を求めるとAllyはふにゃりと顔を歪め、頷きながら握り返した。

 誰だっていつもそれが一番の正解だと思って行動する。幸せになりたくて、欲しいものを手に入れたくて、必死に生きている。だから間違う。

 でも間違うことは悪いことじゃない。苦しくてもがいて泣き叫んで、その先に大事なものが見つかるから。

 傷つきながら前に向かって進んだ時、未来は開ける。そうわかったから、優希は過去を許し、受け止める。

「おなか、すかない?」

 暗くなった空気を一掃しようと声をあげる。タイミングよくAllyのおなかが音を立てた。それを聞いたケイトが呆れたように笑いだす。

「こんな状況でよくおなかを鳴らせますね」
「うっ、重ね重ね申し訳ない」

 ヘコむAllyに禄朗はポケットから出したチョコを投げつけた。

「これでも食っとけ」
「ありが……って、溶けてるじゃん」

 体温でシナシナになったチョコを手にAllyは泣き笑いの表情を浮かべた。
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