茨ちゃんは勘違い
「ちがうったら、ちがうったら、ちがうんだもぉぉおぉぉぉんんっ!!」
「ひゃああぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ……」

安部と木更津は同時に身体を乗り出し、叫び声の上がった方──女子達が居た場所を見た。

プールサイドにツイスターが発生している、それもかなり大規模だ。

見れば、百合絵と桜の二人が巻き込まれないように非難していた。

目を凝らしてよく見ると、竜巻の中心には畑山らしき人物が、茨っぽい物体Xをもの凄い遠心力で振り回している感じがする。

茨っぽい人物は、悲鳴とも奇声ともいえないような声を上げながら、ヨダレを周辺に撒き散らしながら高速回転していた。

安部はそれを見て、百年の恋ならぬ数日の恋も一時で冷め、どうやら恋愛感情らしき胸騒ぎは、身の危険を察した時の胸騒ぎだったと確信した。

しかし、木更津はそれに反して益々茨に対して興味が湧いていた。

人間、見掛けでは分からないものだ。

どちらかというと、安部の方が正常な判断が出来ている。
< 104 / 224 >

この作品をシェア

pagetop