茨ちゃんは勘違い

「ぐぇ、ぐぇ、ぐぇぇえぇぇぇっぷっ。はれ？ここはどこ、アチシはだーれ？」

盛大に咳き込んだ上に、強烈なゲップをかまし、キョトンとした表情を浮かべてお決まり過ぎる文句を吐いた茨に一同がコケる。

が、無事黄泉の世界から帰還した茨に直ぐ様近寄ったのは百合絵であった。

「茨ちゃん！」
「ふえ？」

ずぶ濡れの茨にも構わず、ギュッと抱擁する百合絵。

この話始まって以来の珍事である事は言うまでも無い。

明日は恐らく、雷雨後、大量の雹が降る。

余程心配だったのだろう、百合絵の目元には涙が浮かんでいる。

何だかんだ言っても、百合絵にとって茨は大切な友人の一人なのかもしれない。

「ね、ねぇ百合絵ちゃん。アタシどーなちゃって、こんなんなっちゃったんだっけ？」
「あ……」

それを聞いた畑山が申し訳なさそうに前に出てくる。

「ごめんなさい……城山さん……ちょっと思い切りやり過ぎちゃったと言うか……」

ジャイアント･スウィングは、思い切りやらなければやって良いという技では無いと思うのだが、こう小さく萎んでしまっている畑山を見ると、桜と百合絵の二人は居た堪れない気持ちになった。