茨ちゃんは勘違い
珍獣を見守る会
桐海暁学園は、一学期を終えようとしていた。

一年生にとっては、高校最初の夏休みが始まるという事になるのだが、その前に期末テストという大きな壁が立ちはだかっていた。

学園の偏差値は決して低くなく、寧ろこの学園内で中の下の成績に当たる生徒にとっては、現状を保つのが精一杯である。

土日を挟んで、翌月曜日丸一日テスト。

その答案用紙の結果次第では、夏休み初日が天国になるか地獄になるかが決まるのである。

つまり、皆が休みの中、誰も居ないガランとした教室で、クーラーも効いていないクソ暑い上に補習という、余計頭が朦朧とする思いをしたくなければ、テスト予習期間中真面目に机に向かうのが理想だ。

何にせよ、土日の二連休。

勉強を放棄して遊び呆けるならまだしも、自分にとって何の利益にもならない事をやるなんて人生損している、と言っても過言では無いだろう。

……だが、正しく百合絵はそんな状態にあった。
< 119 / 224 >

この作品をシェア

pagetop