茨ちゃんは勘違い
…。

……。

………。

「……で、結局最後まで付き合ってあげたんだ。やっぱ友達想いなんだね、百合絵ちゃんは」
「やめてよ、よしてよ、勘弁してよ。私、真剣に参っているんだけど……」

二日後、期末試験当日。

一時限目~四時限目のテストを終え、残る教科英語のみとした昼休みに、桜と百合絵は試験の答合わせがてら、校舎裏のベンチで昼食を取っていた。

やや陽射しが強い日々が続く中、ここは建物が遮って大きな日陰をつくる為、涼みやすい穴場だったりした。

茨から離れ、予め桜と一緒にご飯を食べる約束をしておいた百合絵は、ここぞとばかりに愚痴を溢す。

「『服を選びたいから、一緒に買いに行こう』って言うから……『自分じゃどんな服が良いか分からないから付いてきて』って言うから付き合ったけど……アイツ、私の意見全く無視で、結局全部自分で決めて買ってたのよ?だったら、最初から私を呼ばずに一人で買いに行けっつーの!!腹立つわー……全く……」
「アハハハハ……」

弁当を突きながら、捲し立てるように喋る百合絵に、桜は苦笑いした。
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