茨ちゃんは勘違い
「そういえば茨ちゃんはテストの出来、どうだったのかな?」
「...茨の奴なら...」

ふと、桜が思い出したかのように呟き、百合絵がそれに応えようとした、その瞬間だった。

バタバタバタ!

バン!

「ゆぅうぅりえぇえぇちゃぁぁあぁぁんっ!どうしよう!乙女の大ピンチだよぉぉおぉぉっ!!!」

廊下は走るな駆けるな慌てるな、と書かれた風紀委員のポスターを一瞥もした事がなさそうな女生徒が、テスト期間中はお静かに!、の職員が書いた貼り紙に真っ向から挑むように駆け抜け、ボリューム全開で百合絵に助けを求めに来た。

「あのねあのねあのねのね!国数社理は全滅で、残った英語は最も苦手な教科なの!これでもまだ望みあるかな!?美少女割引で助かる見込みあるかな!?」

割引いたからなんなのかサッパリ理解出来ない二人は、目を合わせると盛大に苦笑した。
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