茨ちゃんは勘違い
「さぁ行きましょうか!」
「う、うん。ねぇ、城山さん。サファリパークは初めて?」
「うーん、初めてかもぉー?」
「そ、そうなんだ。じゃあ僕に任せて!これでも何度か来たことがあって、桐海サファリパークは僕の庭と言っても過言ではないんだよ。城山さんをちゃんとエスコートするからね!」

木更津は胸を張ってそう告げると、髪の毛をいつものようにかきあげた。

すると、それを聞いた茨は足を止め、

「何度か来たことがある...?それってどういう意味?」

と、さっきとは打って変わって、明らかに怒りの表情を浮かべた。

「ど、どういう意味って?」

困惑した木更津は、思わず言葉に詰まった。

「あんた、もしかしてアタシという者が居ながら、他の女の子とも同じデートコースで...」
「ごごごご誤解だよ!た、確かに女の子と来たことはあるけど、城山さんと知り合うずっと前の事だし...」
「ほらぁ!やっぱり来たことがあるんじゃない!」

何故か付き合ってもいないのにもう彼女面をして憤慨する茨に、木更津はヒドく困惑した。

「最低。アタシもー帰ろっかなー」
「ぇえぇぇえ!?」

遅刻した上にまだ来たばかりだというのに、茨は踵を返そうとした。
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