茨ちゃんは勘違い
「すごい!すごい!」
「うん、野生って訳じゃあないけど、バイソンなんか普段見る事が無いからね。こうして餌を食べているだけでも何か新鮮だよね。都会の喧騒の中で息苦しく感じる事もあるけれど、僕等はこんな些細な事でも癒されてしまうんだね」

木更津が自分の中でクールに決めて、自分自身の発言に酔っていると、茨は首を横にブンブン振った。

「違うわよ!」
「...へ?」

思わず木更津が素っ頓狂な声を上げる。

「やっぱアタシのあげ方が上手いんだわ!見て見て!超〜美味しそうに食べてない?天才!餌付けの天才だわアタシ!」
「......そ、そうだね」

トングに挟まれていた餌を全て平らげると、バイソンは次の餌をくれと言わんばかりに鼻息荒く目で訴えかけていた。
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