茨ちゃんは勘違い
茨が振り返ると、待ってましたと言わんばかりに、先程餌を与えたライオンが大口を開けて待っていた。

「ぐるるる...ぐがるぉ!!」

目前で吠えられると迫力が俄然違う。

さっきまでの余裕はどこへやら、茨は情けなく悲鳴を上げていた。

「ひ、ひぃぃいいい!!お、お助け〜!!」

茨が助けを乞うと、それに呼応したようにライオンが再び吠える。

万事休す。

迫り来るライオンに、茨が目を瞑った次の瞬間だった。

茨の体重は突然無になり、地面から離されると、バスの中へと引き戻されていた。

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